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2026.10.20
屋外広告業は、物づくりの総合格闘技です。
~工場から街角へ。一本のポールサインができるまで~
街を歩けば、必ず目に入るものがあります。
店舗の名前を掲げる看板。
企業の存在を知らせるサイン。
夜になれば、明かりを灯して道行く人を迎える広告塔。
普段は何気なく眺めているこれらの看板ですが、いったい誰が、どこで、どうやって作っているのでしょう?
今回ご紹介するのは、オフィステナントのために制作した「自立型ポールサイン」。
地面からすっくと立ち上がり、複数のテナントを案内する大型看板です。
実はこの仕事、想像以上にたくさんの技術が詰まっています。
それでは、アート工藝社の制作現場から据付工事、完成までの一部始終をご覧ください!
■ 1.まずは制作所から。看板の骨格をつくる。
最初の舞台は、アート工藝社の第2工場。

大きな鉄骨フレームに、ステンレスなどの外装部材。そのほか大小さまざまなパーツも納品され、なるべく「あとは現場で組んで終わり」という状態に近づけておきます。

大型の自立看板は、見た目の美しさだけで成立するものではありません。
風の力を受け止め、雨や紫外線にも耐え、長い年月にわたって屋外に立ち続けるための強度や耐久性が求められます。
金属の切断・溶接・組立。寸法精度を確かめながら、ひとつずつ形にしていく作業は、まさに製造業の世界です。
もし、これを読んでくださっているあなたが鉄工や金属加工の技術を持った方であれば、この工事の頼みの綱的な存在となるでしょう。
<この工程に関係する資格・技能>
– ガス溶接技能講習
– アーク溶接等の特別教育
– 金属加工、製缶、図面読解などの技能
※実際の加工方法や使用設備によって必要な資格・教育は異なります。
■2.看板に「顔」を与える。
頑丈な骨格ができたら、今度は看板の表情をつくる工程です。
印刷やカッティングによって製作した装飾シートを、表示面に丁寧に貼り込んでいきます。
写真をご覧ください。

スタッフが道具を使い、シートを押さえながら慎重に作業を進めています。

空気を残さず、小さなゴミや埃も入れず、シワをつくらず、まっすぐ美しく仕上げる。

金属加工とはまた違った、繊細な手仕事が求められる世界です。
ここでは看板制作ならではの専門技能が生きてきます。
<この工程に関係する資格・技能>
– 広告美術仕上げ技能士
– フィルム施工、シート貼付などの技能
強さをつくる仕事と、美しさをつくる仕事。
その両方が揃って、ようやく看板らしさが見えてきます。

(当日の据付作業の段取りを良くするため、予め支持脚ボルトを仕込んでおきます)
■3.さあ出荷! 大きな看板を街へ運ぶ。
工場での製作が完了したら、いよいよ現場へ。

しかし、これだけ大きな看板を運ぶのは簡単ではありません。
工場のホイストクレーンなどを使い、大型部材を慎重に吊り上げ、トラックの荷台へ積み込みます。

このとき重要なのが「玉掛け」。
ワイヤーやスリングなどを使って荷を安全に吊るための作業で、重心や荷重を正しく見極める知識と経験が必要です。
積み込みが終わっても、まだ仕事は続きます。
輸送中の振動や揺れから製品を守るため、部材をしっかり固定し、十分に養生します。
ここの詰めが甘いと、現場に到着するまでの間にトラブルが発生し、もはや工事どころの話ではなくなります。
そうなっては目も当てられません。
そんな「大惨事」を思い浮かべてしまうと、こうしてキーボードを打つ手もぷるぷると震えてきます。
せっかく美しく仕上げた看板。傷ひとつ付けずにお客様のもとへ届けたい。
本当に地味な工程ですが、こういった配慮も、ものづくりの大切な作業の一つです。
<この工程に関係する資格・技能>
– 玉掛け技能講習
– 使用設備に応じたクレーン運転資格・特別教育
– 荷役作業、積載・固縛の技能

(メリケン結び(南京結び)ができる人なら一目置かれます!)
物流や運送の現場で培われたスキルも、ここで大きな力を発揮できます。
■4.いよいよ現場。ミリ単位の据付作業。
工事当日。
トラックに積んだ看板部材が、設置現場へ到着しました。
ここからはほとんど建設工事の世界です。


ユニック車のクレーンを使って大型の看板本体を吊り上げ、あらかじめ定められた位置へ慎重に据え付けていきます。


大きな構造物だけに、ほんの少しの傾きや位置のずれも見逃せません。
それぞれの角度からスタッフが声を掛け合い、位置を確認しながら少しずつ本体を下ろしていきます。

そして、アンカーボルトによる固定、必要なコンクリート施工などを経て、地面にしっかりと据え付けます。



高さのある看板を安全に立たせるためには、施工精度とチームワークの両方が欠かせません。
<この工程に関係する資格・技能>
– 小型移動式クレーン運転技能講習
– 玉掛け技能講習
– アンカーボルト施工、レベル調整などの技能
– モルタルやコンクリート等の軽左官工事に関する知識
※必要なクレーン資格は機械のつり上げ荷重によって異なります。
製鋼工場や建設現場で経験を積んできた人には、きっと見覚えのある光景ではないでしょうか。
■5.明かりを灯し、最後の仕上げへ。
看板本体が固定できたら、作業はいよいよ最終段階です。
LED照明の電気配線を接続。

光る看板は、昼と夜とでまったく違う表情を見せてくれます。
電気設備としての安全性、各部の収まり、表示面の仕上がり。

パネルと枠部材を、ひとつずつ確認を重ねながら取り付けを行い、ようやく完成です。
<この工程に関係する資格・技能>
– 第二種電気工事士など、看板工事規模に応じた電気工事資格(第一種なら最強)
– LED照明、配線、電気設備工事の基本知識
最後まで手を抜かず、美しく仕上げる。
そこに看板職人の誇りがあります。
■6.新しい街の風景が、またひとつ。
完成したポールサインが、青空の下に立ち上がりました。

(ちなみに足元の養生材は、コンクリート乾燥後に取り除きます)
オフィステナントを訪れる人にとっての目印であり、この場所で働く人たちにとっては、新しい職場の顔でもあります。
工場で横たわっていた鉄骨の骨組みが、加工され、装飾され、運ばれ、組み立てられ、街の景色の一部になる。
完成した姿を見ると、私たちもやっぱり嬉しくなります。

(新しいテナントさんが決まると、ここにシート貼りで表示されます)

そして、ここまでご覧いただいた皆さんには、ご理解いただけると思います。
看板づくりとは、さまざまな仕事の技術が出会う場所なのです。
■7.あなたの経験が、この仕事につながるかもしれません。
アート工藝社では、屋外広告士や広告技能士などの専門知識に加え、実に幅広い技術や経験が生かされています。
鉄工、溶接、製缶、クレーン、玉掛け、高所作業、運送、建設、電気・ガス工事、内装、ドローン操縦などなど。
一見すると別々の職業に思えるかもしれません。
ですが、私たちの現場では、それぞれの技術が一本の看板をつくるためにつながっています。

例えば、製造業で金属加工を経験してきた人。
物流業で荷役作業やクレーン操作に携わってきた人。
建設業で現場施工や設備工事に取り組んできた人。
そんな皆さんが身につけてきた技術や資格は、看板づくりの世界でも十分に生かせる可能性に溢れています。
もちろん、最初からすべての仕事ができる必要はありません。
大切なのは、これまで培ってきた経験を土台に、新しい技術や仕事にも興味を持てること。
自分の手でつくったものが、街の中に残っていく。
通りがかるたびに「あれ、自分たちが作ったんだよな」と思える。
そんな仕事も、なかなかに楽しいと思いませんか?
アート工藝社が大切にしている言葉があります。
「物づくりの前に、人づくり。」
看板をつくる技術は、人が育て、人から人へ受け継いでいくもの。
これまでの経験を生かしながら、次の仕事へ挑戦してみたい。
そんな皆さんとの、新しい出会いを楽しみにしています。
あなたの技術で、未来の景色をつくりませんか。
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